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2019年 NO.677


ローマ書の結論 
−自分を義する種は、自分にはないー



  ローマ書は、ローマにいる聖徒たちに宛てて書かれたものです。その聖徒とは、

ユダヤ人の聖徒と、異邦人の聖徒たちですが、特にこの書の目的は、パウロさんが

異邦人の使徒として召されていましたので、異邦人の信仰を従順に至らせるために

(15:16〜18)、この手紙が書かれました。しかし、福音の真理をまず明らかに

するために、ユダヤ人の信仰のあり方を問答によって説明し、「義とされる方法は律法

の行いにはよらず、イエス・キリストを信じる信仰によって与えられる」ということを

力説して、義とされる者は、ユダヤ人も異邦人も分け隔てなく、キリストの贖いに

より、信じる者は価なしに義とされる」ことを解き明かしました。なぜなら、信仰によっ

て与えられる「絶対主の義」という救いの大前提が心の中に入らないと、人は生まれな

がらに、自分の義を立てて認められようとする癖から抜け出せないからです
人は物心

が付いた時から、罪に対して「悔いる心」だけでは赦されないと思っています。だから、

「悔い改め」の実を結び、自分の罪を帳消しにしようと「行い」に頼るのです。しかし、

「ユダヤ人は、律法の行いによっては、罪の意識が増すだけで、絶対主の義に到達でき

なかった」ことを明らかにしました。ですから、このことが明確になったとき異邦人の

聖徒たちも「信仰の従順な行い」は、人から求められて表すものではなく、救いがキリ

ストの恵みによって与えられたものであるので、「信仰の行い」は、主への献身の心の

表れとして行っていくものだと、異邦人に解き明かしたのです。御言には、「罪深い肉

を持った私たちには出来なかったことを、絶対主はご自分の御子イエスを、罪の肉の姿

をもって遣わし、私たちの罪のために、御子の肉をもって罪を処罰して下さった」

(ロマ8:3)とあります。私たちもこの絶対主の恵みにより、キリストの贖いによって

義とされることが分かったのなら、「信仰の従順」に進むために、律法的な行いによって

自分を義とし、罪を悔い改めて、自分の罪を帳消しにしようとする努力に頼ってはいけ

ないのです。

 それなのに、私たちは子供の頃から習慣的に、怒られた時は「改める」ことを表明し

なければ赦されないと思って育って来ました。ですから、信じた後も、悔いるだけでは

駄目だと思い、「真面目」になって「ちゃんと改めて行く」ということを上辺だけの

表明としてやって来ました。 それなのに、クリスチャンになると、その表面的な真面目

は否定されます。すると、「悔い改めて、正しい方向に心を向けて、『きちんとやって

行きます』と言って、なぜ悪いの?」と反感を持ち、「真面目にやります」と言わない

と、赦してもらえないのに、「悔い改めることがなぜいけないのか?聖書にも「悔い

改めよ」と書いてあるでしょ?と、私たちは反感を抱いてしまうのです。しかしながら、

聖書には、「義を追い求めていたユダヤ人は、義に到達できず、義を追い求めなかった

異邦人は義を得ました。」とあります。その答えは「信仰によらないで、律法の行いに

よって得られるかのように追い求めたからです。」とあります。人は「悔いる」ことは

出来ても、「改める」ことは出来ないというのが現実です。だから一生涯、罪の悔いは

続けて行っても、罪は命を閉じるまで取り去られることはない
のです。

 ですから、「改める」ことは出来ないのに、「改めて認めてもらおう」と思っていた

考えは間違いだったのです。すなわち「自分を義とする種は、自分にはない」。だから

こそ、キリストの贖いが必要でした。そして、その贖いを信じて救いを受けたのなら、

これからは、自分に根拠を置くのではなく、キリストに根拠を置いて、キリストを信じ

仰ぎ続けながら、一つでも二つでも絶対主の御心に適ったことを一生懸命やらせてもら

おうと、心を変えて行くべきではないでしょうか。これが、自発的な「信仰の従順の中

に歩む」ということです。

 本来なら、私たちは絶対主の側の人間になりましたから、一つだけでなく、一杯努力

して行こうという献身の心は、大いに勧められる事柄です。そこまで、心が前向きに

変えられて行くなら、絶対主は喜ばれることでしょう。私たちは、絶対主の側の人間

ですから、自分の側で考えるのを止めて、絶対主の側から見て行くことが、正しいクリ

スチャンの生き方です。これこそが「信仰の従順」の表れとなる秘訣でしょう。この

究極の真理に目覚めて、心を新たにして行きましょう。(ロマ12:2)

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