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2013年 NO.468 |
『科学万能の世界観』
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科学万能の世界観は、16世紀の近代科学の創始者とされるガリレオ・ガリレイ (1564〜1642年)から始まったとされています。この時代を前後して、芸術は ルネッサンスを迎え、宗教界は宗教改革が起り、経済界は産業革命が勃興し、政界は 市民革命が起ってきます。そして、思想界では、17世紀に啓蒙思想が起って、 「人間的・合理的理性を尊重し、宗教的権威に反対して、人間の自律」を唱えました。 これは、旧慣を改め新秩序を建設しようとする人間自立のエネルギーに燃えるものだった のです。 こんな時代背景にあって、科学は人間の知性により頼む研究となり、その科学分析が 実験・観察によって機械論的に解明することが主流となり、世界を機械としてイメージする ということが起って来ます。そして、すべての現象は物質的に説明されるべきものとなり、 こうした背景の中から、唯物論主義が根を下ろすようになっていきました。 すなわち、科学万能と言われる世界観の背景は、唯物主義であって、世界の根本的原理、 また実存は物質(物)と見なすようになっていくのです。そして、生命も同じように、 徹底して機械論的に解釈されるようになり、「生命とは、純粋に物質的存在である」と 言われるようになっていきました。 このように、科学万能の世界観は、いかにも論理的で真理そのもののように思わされて 来たのですが、人間を単なる物質と捉え、人間の存在意義を見失わせるものとなって 行ったのです。しかし、DNAの発見以来、生命は情報の塊であり、情報の背後には知性的 な発信者の存在を否定できません。科学は今、この難問に打ち当たり、科学万能の世界観 が崩れかけているのです。 |
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