(起)エペソ6章5~9節の御言葉から、「私たちの地上での生涯は、絶対主の意向を汲み、
そこに合わせて行くことが全てである」ということを学んで行きたいと思います。
(承) さて、今お読みした御言の中で特に心を留めたいのは、5節の「キリストに従うように、
恐れおののいて、真心を込めて、肉による主人に従いなさい」という御言です。実は、この「真心
を込めて、肉による主人に従う」ということは、戦国時代の武将たちの間では当たり前のこと
でした。武士たちは「滅私奉公」の心で殿に従うことこそが、当時の武士の義でありました。
その中でも、特にキリシタンの武士たちは、天におられる真の殿である絶対主がおられること
を知りました。ですから、ますます、真の殿に心から従うように、地上の殿に自分の命を懸けて
行くべきだと知ったのです。彼らは、「キリストに従うように、真心を込めて、肉による主人に
従いなさい。」とあるから、その心で地上の殿に仕えて行けばいいのだと確信したのです。
彼らは、まさに「人のご機嫌取りのような、上辺の仕え方ではなく、かえってキリストの奴隷
として、心から絶対主のみこころを 行い、人にではなく主に仕えるように、快く仕えなさい」
(6節)という御言葉どおりに、自分の殿に仕えて行きました。すなわち、彼らはどこまでも
大殿である絶対主を中心に物事を考えて、この地上の生涯を歩んで行ったのです。
(転) では、私たちはどうでしょうか。私たちも、天におられる大殿である絶対主を知りました。
この大殿は、私たちの罪の贖いを、ご自分の一人子であるイエス・キリストによって、全て成し
遂げて下さったのです。ならば、私たちはその大恩を受けたのですから、この殿に自分の命を
懸けて従って行くべきです。すなわち、もう自分のために生きるのではなく、どこまでも絶対主
に心を向けて生きて行くべきなのです。それが絶対主と繋がる生き方です。しかしながら、
私たちは未だに自分中心な生き方を続けているという現実があります。例えば、絶対主に祈るとき、
「自分はこうありたいです」とか、「こうしたいです」という祈りは、あくまでも自分の思いを
中心にした祈りであって、自分の勝手な願いを絶対主に押しつけているだけに過ぎません。
そんな祈りをしても、絶対主は「また勝手な祈りをしているな」と思われるだけです。本来の
私たちは、イエス・キリストによって、自分自身の心に住む魔物の汚れから贖って頂いたのです
から、私たちの祈りは全て叶えられているのです。ならば、私たちはもう無条件に、「イエス・
キリストにあって、真の殿である絶対主に従って行きます」と祈るべきです。「自分はこうあり
たい」とか、「こういう人間になりたい」とか、そんな祈りはもう必要ありません。この命が
イエス・キリストによって天に繋がったのですから、それだけで十分なのです。あとは、滅私奉公
の心をもって、「この命を、この人生を」、絶対主のために使って行く生き方を始め出すことです。
すなわち、「自分を徹底的に否定し、どこまでも絶対主のお考えに合わせて行く」という生き方
です。それは、「絶対主の栄光のためなら、自分はいくら否定されても構いません」という、
積極的な自己否定をして行くことです。しかし、それは、絶対主のお考えや、絶対主のお気持ちを
汲まなければ、できないことです。その絶対主のお考え、絶対主のお気持ちを知るためには、
御霊さまの声を聞くことや、普段から、自分ではなく相手の気持ちを考える習慣を身につけて行く
ことが大切です。その心遣いは、「自分のことを分かってもらおう」とするのではなく、自分が
「相手の心を理解しよう」という気持ちを持つことです。私たちはもう自分中心に生きる者では
なく、絶対主中心に生き始める者です。ならば、私たちの意識をその方向に リセットして行く
べきではないでしょうか。
(結) こういうわけで、私たちはもう自分のために生きるのではありません。
真の殿である絶対主を知った以上、これからの私たちの生涯は、「如何にイエス・キリストに
あって生きたか」が全てです。この地上にあって、その生き方を表す残りの生涯が、まだ私たちに
与えられているのですから、どうか、積極的に自己否定し、どこまでも「絶対主は何を考えて
おられるのか、何を求めておられるのか」、そこに関心事を抱いて、そこに合わせて行きま
しょう。そうすれば、天に上げられたとき、絶対主と私たちは本当に心の通じ合った交わりが
できるでしょう。それが私たちの本当の喜びであり、絶対主にとっても喜びとなるでしょう。
人間は、そのために造られたからです。どうか、この真理に立って下さい。私たちの地上での生涯
は、絶対主の意向を汲み、そこに合わせて行くことです。あとは何もいりません。このことを
心に留めて、これから絶対主の意向に焦点を合わせた生き方をして行こうではありませんか。
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