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T福音書の写本は原典に近いものとして信頼できるのでしょうか?
Tの弁証―聖書の原本は、とっくの昔に消失しています。それが現存する写本と内容が同じ
であると言える根拠は、写本の圧倒的な数の多さにあります。しかも、聖書の写本は、
一地域からだけ発見されたものではなく、世界のあらゆる地域から発見されてきています。
その為、原本の内容をたどるには、極めて有利なのです。その写本の数は、ギリシャ語写本
の総計が5664冊あり、他の言語の翻訳本として発見されたものが24000冊もありま
す。総計およそ3万冊に及びます。これは、ホメロスの「イリアド」の650冊、
タキトウスの「年代記」は、約10冊、ヨセフスの「ユダヤ戦記」は9冊程度であることと
比べれば、聖書の写本の圧倒的な数の多さは、原本に近づける作業が容易であると言えるの
です。しかも、聖書は、原本から数10年しか経っていない写本があり、「イリアド」の
ように原本と写本の間に、1000年近い時間的ギャップのあるものと比べれば、格段の
信憑性があると言えます。
Uギリシャ語写本間にある、筆写の間違いについてはどうか?
Uの弁証―ギリシャ語は屈折言語といわれ、語順に関係なく文章の主語になる単語は、
文章のどの位置にあっても主語であることが判別できます。すなわち動詞と主語は、
その人称が一致し、名詞と形容詞は、性・数・格に於いて一致するので、語順が間違って
いるように見えても、文章の意味を変えることになりません。英語は、語順が変わると文章
が全く変ってしまいます。(例、Dog bites man. Man bites dog.
のように)
又、比較的重要な相違点も、聖書の教理をひるがえす程のものはありません。
内容の99.5%は原本に限りなく近い形で残されているのです。
V 聖書の各書巻は、どのように正典となり、信用されてきたのか?
Vの弁証―聖書の正典性の判断基準は3点あります。
第一に、使徒的な権威があるものか? 使徒及び使徒の直接の弟子によるものか。
第二に、初代教会の信仰の規範と認めていたものと一致するかどうか?
第三に、初代教会が、書巻の内容と継続的に認めて用いていたか?
以上の3点に加え、教会が正典として認めたから、聖書に収める文書に公認したという
のではなく、当時の初代教会が、こうした文章の真実性を認めていたものであったため、
正典として追認したにすぎなかったのです。すなわち、その書簡がすでに権威あるものだっ
たのです。それを正典として編纂したというのが新約聖書27巻なのです。
以上のことから、聖書の写本の信憑性は質の高いもので、聖霊の保護の下にあったと
信じることができます。それが、今日まで保たれてきたのです。
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