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2005年 NO.103



       
『芸術の背後にある思想』 

 

 連休中に美術館に行ってきました。良く理解出来ない絵が数多く出品されていましたが、専門家
                                  だま
から見ると、すばらしいのでしょう。しかし、私たちは、芸術というものに騙されてはいけません。

そこには、全て思想があるからです。すなわち、人間の我の表現こそが芸術です。ですから、その

背後にある思想をよく見る必要があります。


 例えば、ゲーテは自然と真理を同等なものと見なし、自然を神としました。その影響を受けた画家

にゴーギャンがいます。彼は人間の精神は脳内の化学反応によって決定されると考え、道徳には意味

はなく、本能の命じるところがすべて正当化されると考えたのです。そして彼は自然の中に自由を

求めて、タヒチに行きました。しかし、そこで見つけたものは、死と悲惨でした。彼は作品を描き

終って自殺を企てたのです。印象派のモネ、ルノアール等は、目に、彼らが感じるものだけを描き、

光の波の背後にある絶対を夢にしてしまいました。また、セザンヌ、ゴッホ、スーラは、個々の

ものの背後にある絶対に戻ろうとしたが、個々の実在を強調し、個々の創造主を見失う方向に向き、

極端な抽象画に走り、ピカソのように、人間性の一面だけを描き、人間を物とみる不条理な世界へ

導いて行ってしまったのです。

 このように、芸術は、人間の持つすぐれた感性の表現でもあるのですが、全てを手離しで、

賛辞することはできないものなのです。




                                    



     
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